Fiction teller

弘前大学の音楽サークル内で結成され、2008年から2009年まで活動したバンド、Fiction tellerが唯一残した3曲入りCDR音源。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという極めてオーソドックスな4ピースバンドながら、女子ヴォーカル・カナへのエモーショナルな歌とメルヘンチックな歌詞世界を軸に据えたことで、独自のカラーを打ち出すことに成功した。
歌の世界観に合わせるように、曲調もそれぞれに異なった雰囲気を醸し出している。地下鉄を走る電車の哀愁を唄った“メトロ”はJロックの王道を往くマイナー調の疾走感溢れるナンバー。森の中でチョコレートを探すお話“朝靄とチョコレート”は、清涼なアレンジが光るミディアムテンポの楽曲。家出した風の子のお話“風の哀愁ひとりたび”は、サビで3拍子にテンポチェンジする激情型のロッカバラード。3曲とも、青臭さの中に光るものを感じる楽曲だ。
バンドはサークル活動終了とともに解散したが、ヴォーカル・カナへは現在fill.というバンドで音楽を続けている。そこでまた新しい物語を紡いでほしい。