○と×

ヨーコトリヤベがかつてバンドを組んでいた頃の楽曲“○”と“×”を、エレクトロニカ的に再レコーディング。そしてそれを元に3人のミュージシャンがプロデュース/リミックスした、全6曲入りのマキシ・シングル。
本作のプロデューサーRUBYORLA氏が、プロデュースというよりリミックス的な方法論で制作に携わった為、リミックス盤なのかシングル盤なのか、ちょっと焦点がぼやけた感があるが、そこはまず5〜6曲目に置かれた本人によるオリジナル・ヴァージョンを聴けばいいこと。
“○”は、AメロからBメロ〜サビまで無駄のないメロディの中で、感情が高揚し、心の弱さが昇華されていく様子を伝える名曲。一方の“×”は複雑な曲構成の中に、激情と内省を行ったり来たりする心の動きが見事に表されている。
この2曲を再構築したのがRUBYORLA、Tomzuin h、sinkの3人だが、それぞれに料理の仕方が異なって面白い。原曲のテイストを生かしつつ、違った世界を見せようとするRUBYORLA。原曲の世界をさらに濃く表そうとするTomzuin h。原曲とは全く異なった世界に連れて行ってしまうsink。まさしく三者三様といった感があり、リミックス企画かくあるべしである。
全6曲とも充実の内容で、飽きさせない。そしてその中でもやはり素晴らしいのは本人によるヴァージョンであり、ヨーコトリヤベのポテンシャルを感じさせる作品でもある。