RESIGNATION

青森県八戸市在住(当時)の女性宅録ミュージシャンによるデビューアルバム。Human Highway Recordsからのリリース。
全編に、脆く儚げな歌声、寒々としたローファイなギターの音色、スロウでところどころに強いリヴァーブが効いたリズムといったアレンジで統一されていて、スロウコア/サッドコアの典型。
特徴的な作風としては、ワルツのテンポを用いた曲が多く、奥行きのあるエコーも相まって、まるで廃墟となったヨーロッパの宮殿の中で、薄明かりが漏れる中、円舞を踊っている……といった情景が浮かんでくる。
黒いジャケットはネガフィルムまたは白黒映画のイメージだろうか。当時観たライヴでは、恐らく本人制作であろうモノクロの映像が効果的に用いられていたが、音/映像トータルで白昼夢のような世界が保たれている点が、ある意味サウンドトラック的だともいえる。
一つ一つの楽曲自体はさほどのインパクトを残さないが、アルバム全体に漂う独特の雰囲気だけは強く印象に残って、心から決して離れることがない、不思議な魅力がある。