Five Star

大御所ホッピー神山プロデュースによる、ヨーコトリヤベ5曲入りのミニアルバム。
当時は自身の音楽を“テクノゴスペル”と呼んでいた彼女だが、今聴けば驚くほどポップス然としている。ヴァラエティ豊かなサウンドは“テクノ”というジャンルに収まらないものが多く、その後その呼称を止めるのも頷ける。しかしこの作品以降、楽曲自体はますますエレクトロ色を強化していくのであった。
そういうことを思うと過渡期的な印象のある本作だが、どの曲も粒揃い。特にその後の方向性を示唆している“マーブル”やメランコリックな旋律が光る“ひと粒。”そして何よりも、アルバム冒頭を飾る“Faith”は飄々としていながらも実に力強く、この時期の彼女にとっての代表曲である。
また、現在の音楽性には若干そぐわなくなっている感のある“電波シンドローム”や“こわれた夢と刺さった棘を私と一緒に抱きしめて”(←長い)もまた、彼女のメロディ・センスの良さを示すものであり、捨て曲無しのよくまとまったアルバムといえるだろう。